お金より名誉のモチベーション論  <承認欲求>を刺激して人を動かす
お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす

 ビジネスのシーンに於いて、「お金の問題じゃないんだよ!」と何度口にしたことがあるだろうか。お金やご褒美によってモチベーションを引き出そうとする安直な人間のなんと多いことか。 もちろんお金は生活の上で必要であり、だからこそ「ご褒美」や「釣り」的な金品によって本質を誤った判断をせずに済むような程度の貯蓄は必要であるというのが前提となる。
 その上で、あらゆる判断の根拠となりうるモチベーションが「承認」である。ここでいう承認とは主に「評価」とか「感謝」という意味をも多く含む広い意味のものだと捉えてよいだろう。 平たく言えば「認められたい」という欲求である。 この「承認」を適切な場面で行うことにより上司が部下にいかに気持ちよく、モチベーションを高く持って仕事をしてもらうようにできるか、そんなことも本書には書かれている。
 「正の承認」と「負の承認」の存在を意識することでより的確に状況判断ができるようになろう。負の承認とはいわゆる「足のひっぱりあい」と言ってもよいであろうか、積極的な意味で「認めない」を表明することである。 このような負の承認はチーム内にないに越したことはないが現実社会においては ねたみ の感情も含み、必ず存在すると言ってよい。 だからこそこの負の存在を意識した上で適切な対応をとることが必要となるわけだ。


 同著者の本として以下2冊も続けて読んだが、それぞれの本のテーマに合う着想点での事例などが多く紹介されており、具体例とともに疑似体験として読むには役に立つと思う。ただしベースになる主張は皆同じでかつ非常に単純明快なものであるので、1冊で本質を理解して満足してしまった人には若干飽きるかもしれない。
 そう。 何事に於いても本質はシンプルなのである。 「ありがとう、って言われたい」。


承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?
承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?
ビジネスに於ける「大部屋」の効果や 「京都と農村における承認」などの分析が興味深い。 
「ちゃんとちゃんと」をやりすぎて独創性のない(自分で本質を考えない)人が増えている件などは、大きくうなずきながら読んだ。


 文字が大きくさくさくと読み進められるので、まずは著者の考え方の概要を手にとって見たいひとにはお薦めできる一冊だと思う。



ホンネで動かす組織論 (ちくま新書)
ホンネで動かす組織論 (ちくま新書)
 こちらは新書版。他の2冊と比べると細かい分析の話が多いような印象を受けた。文字が小さいこともあって少しだけ難解なものを読んだ気分にもなるが、もっとも著者の主張がぎゅっと濃縮された一冊であるように感じた。 680縁という値段も、とりあえず「承認欲求」的な考え方に触れてみたい人にとっては十分出せる金額ではないだろうか。
 本書で非常にぐっと来た言葉が「教え惜しみ」。 先の日記にも似たようなことを書いたことがあるが、何故会社は、先輩は、社員や後輩を育てないのか。 育てる選択肢をそもそも持っていない人は論外として、それ以外の人は、「育てるメリット」を感じていないに違いない。会社が後輩から感謝をされるならば、これらの人たちの行動も大きく変わるであろうと確信している。 やはり「ありがとうって言われたい」なのであろう。


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